ピアノニストとしての才能もさることながら,文才もあり.セカオワ,彩織さんは多彩な才能がありますね.羨ましいです.ヤフーニュースでも取り上げられていた文春オンラインの文章を紹介しその溢れる才能の魅力に迫ります.
羊と鋼の森――読書間奏文 藤崎彩織(SEKAI NO OWARI)
「調律師に一番必要なものって何だと思いますか」宮下奈都さんの『羊と鋼の森』という小説の中で、調律師を目指す主人公が先輩たちに質問するシーンがある。
調律師にとって一番必要なものは何か。先輩たちは答える。
「チューニングハンマー」「いや、そういうことじゃなくて」主人公がそう言うと、他の先輩調律師が口を挟む。
「根気」「それから、度胸」「あきらめ」
読みながら考えていた。ピアニストである私にとって、一番大切なものは何だろう。本を閉じて、二十五年の時を遡った。
ピアノを弾くために大切なもの。それは最初、花束だった。
羊と鋼の森とは・・・
最初に登場する「羊と鋼の森は」2016年に本屋大賞に選ばれた,宮下奈都さんの作品です.調律師を目指す青年が成長していく姿を丁寧で表現豊かに示した長編小説です.私は,まだ読んでいないので是非読んでみたいです.
ちなみに,羊はピアノの弦をたたくハンマーの羊のフェルト.鋼はピアノの弦,森はピアノの材料の木を表現しているそうです.
羊と鋼の森――読書間奏文の感想
彩織さんの文章は,ピアノを弾くために大切な3つのものが時系列に紹介されていきます.全文は上記のリンクからぜひ読んでみてください.
まずは,ピアノを始めるきっかけについて.母親に,ぴあのやらせてください.ってひらがなで書いた,かわいらしいというか,凄い情熱.誰かにやらされたのではなく,自分自身で始めたピアノ.私は.こんな小さい時から自分でやりたいと思ったことってあったかな?
しかも,これを5歳の春にって,ちゃんと記憶に残っている所が凄い,知的レベルが高い人は,小さい頃の記憶をよく覚えているんですね.私なんか,断片的な記憶しかない.何歳だったかなんて,わからない.
引用:ツイッター
次に,練習をさぼった時の,厳しい親のしつけ.意味があって厳しくするのは,子供にとって必要な事.この厳しさがあるから,今のピアニスト彩織さんがあるんですね.
現代は,甘やかせすぎ?子供に厳しい教育は必要です.どうして厳しくされているか,怒られているかを子供に理解してもらうことが重要.
感情的になって怒りをぶちまける親がいますが,それは,子供にとって何の得にもなっていません.子供はただ怖い親,だと思うだけです.言葉の暴力ではないけど,子供にとってはトラウマになります.
彩織さんは賢い子供だっただろうし,なぜ,鍵を閉められたか理解できていました.
15歳の時の楽譜.他人と比較し自分を知る.思春期の葛藤.
夢を一つずつあきらめていく事が大人になるということ,と誰がが言っていましたが,世の中には自分よりもピアノが上手な人がいるんだと知り,悩み,もがく,それでもピアノは続ける.この時の気持ちが良く表現されています.
最後は,コンサートのお客さん.過去の記憶と今の心境が,よりよく伝わってきました.締めくくりにも,ピアノと花束が出てきて,最後はピアノで終わっています.きれいなまとめ.彩織さんは,文才もあり.ホントにすごいです.
大切な物を振り返ると,花束,鍵,楽譜,お客さんと.最後に物から人へと大切な物が,物質から人になります.
話は少しそれますが,心理学的に言うと,人が幸せを強く感じるのは,物(所有物)を手に入れた時より,人の想い出.体験をした時です.同じお金を使うのなら買い物で物を手に入れるよりコンサートなどを体験すること,何かを経験することにお金を使う方が人は幸せを強く感じるという研究結果が出ています.
この文章を読んで,私は,とても幸せな気持ちになりました.
ん,本業はピアニストですが,ぜひ,無理のない範囲で,これからも読者のために,文章を書いてください.彩織さんの文章には人を幸せにする,勇気を与えてくれる力があります.
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