こんにちは、ヒロです。
2026年7月11日(土)・12日(日)。
SEKAI NO OWARI ドームツアー「THE CINEMA」京セラドーム大阪公演に、僕は参戦してきました。
結論から言います。
あれは「ライブ」ではありませんでした。「上映」でした。
この記事では、大阪公演のセットリスト全24曲と、理学療法士×公認心理師の僕が心を持っていかれた瞬間を、心理学の視点でお届けします。ネタバレを含みますので、これから参戦される方はご注意を!
目次
SEKAI NO OWARI「THE CINEMA」京セラドーム大阪公演 セットリスト
まずは、みなさんが一番知りたいであろうセットリストから。
両日とも本編は22曲で共通。アンコールの1曲目だけが日替わりという構成でした。

本編(7月11日・12日 両日共通/全22曲)
- Blue Flower
- error
- anti hero
- habit
- Yokohama blues
- 眠り姫
- scent of memory
- Missing
- Witch
- Dragon Night
- fangs
- death disco
- tonight
- food
- バードマン
- Utopia with nakajin
- Love song
- タイムマシン
- umbrella
- magic
- 最高到達点
- sos
アンコール(日替わり)
■ 7月11日(土)Day1
23. 花鳥風月
24. RPG
■ 7月12日(日)Day2
23. アースチャイルド(Earth child)
24. RPG
アンコール1曲目だけを変えてくる、この憎い設計。
「両日行った人だけが見られる景色」を用意しつつ、ラストは全員RPGで送り出す。
物語(シネマ)の“エンドロール”は同じ曲、でも“最後の一章”は日によって違う。よくできています。
心理学で読み解く「THE CINEMA」というセトリの狂気
セットリストを眺めていて、僕は職業病を発症しました。
これ、心理学の教科書みたいな構成なんです。
①「ピーク・エンドの法則」を知り尽くしている
心理学者ダニエル・カーネマンが示したピーク・エンドの法則。
人は体験全体の平均ではなく、「感情のピーク」と「終わり方」でその体験を記憶し、評価します。
今回のセトリを見てください。
- ピーク①(恐怖・興奮):Witch、food の映像×現実クロス演出
- ピーク②(涙):magic
- エンド①(本編):最高到達点 → sos というメッセージの着地
- エンド②(アンコール):RPG で全員を“物語の続き”へ送り出す
感情の山を複数用意して、最後は必ず「前を向ける曲」で終わる。
これ、狙ってやっているとしか思えません。というか、絶対に狙っています。

②「予測誤差」が興奮をつくる
脳は「予測」と「現実」のズレ(予測誤差)が起きたとき、ドーパミンを大量に放出します。
つまり、サプライズは物理的に気持ちいい。
Witchでの照明ジャック、まさかのう〇この登場、う〇ち、の方がかわいいか。 foodでの“あの人”の登場。
「音楽ライブでは、こういうことは起こらないはず」という僕らの予測を、意図的に破壊してくる。
興奮するに決まっているんです。脳の仕組み的に。
③「ナラティブ・トランスポーテーション」で観客を物語の中へ
物語に深く没入すると、人は現実の批判的な思考を手放し、その世界の価値観を受け入れやすくなります。これをナラティブ・トランスポーテーション(物語への輸送)と呼びます。
ドームを映画館にし、映像で物語を積み上げ、僕らを“登場人物”にしてしまう。
そこまで没入させておいてからの、ラスト「sos」。
……この順番、卑怯です。効かないわけがない。
【本編後半】僕の心が完全に持っていかれた4曲
ここからは、僕の完全な主観です。
中盤までは「すごい演出だなあ」と観客として楽しんでいた僕が、後半で完全に当事者にされてしまった話をさせてください。

13. tonight / なかじんの歌声に「もう一回、頑張ろう」と思った
正直に言います。
なかじんさんの歌を聴きながら、僕は「少しづつでもいいから進み、なりたい自分になれるよう、あ、もう一回、頑張ろう。」と思いました。
15. バードマン /「わかっている そう言いたくなる」というモドカシサ
深瀬さんの力強い声で放たれた、この歌詞。
ここで僕の胸が痛くなったのは、たぶん、過去の自分に刺さったからです。
パチンコ台の前に座っていた頃の僕は、全部「わかって」いました。
やめたほうがいいことも、貯金が溶けていることも、このままではまずいことも。
わかっていて、変われない。これが一番きつい。
いいえ、違います。
行動変容の研究(トランスセオレティカル・モデル)では、人が変わる前には必ず「熟考期」という段階を通ります。
これは「変わりたい」と「変わりたくない」が同時に存在する両価性(アンビバレンス)の状態。
つまり、「わかっているのに動けない」のは、失敗ではなく“変化のプロセスの真っ只中”なんです。
モドカシサを感じているということは、あなたはもう、動き出しています。
あの一節に力強さがあるからこそ、余計にモドカシイ。
深瀬さんは、その「モドカシサ」の質感を、たぶん誰よりも知っている人です。
20. magic / 感情のこもった歌に、普通に泣いた
おなじみのmagic。
何度も聴いてきた曲なのに、この日は無理でした。泣きました。
言い訳をさせてください。これは生理現象です。

【涙のカタルシス効果】
情動の涙を流すとき、体内では交感神経(緊張モード)から副交感神経(リラックスモード)へのスイッチが起こることが知られています。
ライブの興奮で張り詰めた身体を、涙が“回復モード”に切り替えてくれる。
泣ける曲を後半に置くのは、身体的にも理にかなっているんです。
周りを見たら、光る指輪(スターライトリング)が涙で滲んで二重に見えました。
数万人が同じ瞬間に同じ感情を共有する、社会学者デュルケームの言う「集合的沸騰」。
あの場にいた全員が、確かに一つの生き物でした。
22. sos / 「大人がしっかりしないと」と、胸に刻まれた
本編ラスト。
この曲には、はっきりとしたメッセージ性がありました。
平和について、僕は否応なく考えさせられました。そして思ったんです。
「大人が、しっかりしないと」と。
心理学に「傍観者効果」という現象があります。
助けを必要としている人がいても、周りに人が多いほど「誰かがやるだろう」と責任が分散し、誰も動かなくなるというものです。
ドームに数万人。
「誰かがなんとかするだろう」——その“誰か”に、僕らは全員なれるし、全員なっていない。
あの空間で「sos」を聴くという体験は、責任の分散を、一人ひとりの胸に強制的に引き戻す作業でした。
祝祭の最後に、これを置く。
浮かれたまま帰らせてくれない。これがセカオワです。
笑いも興奮もある。エンターテインメントとしての完成度
ここまで真面目に語ってきましたが、誤解しないでください。
めちゃくちゃ楽しかったです。
Witch / ドームの照明が「ハッキング」された夜
映像の中の出来事が、現実のドームの照明とリアルタイムで連動する。
スクリーンの二次元と、目の前の三次元が混線する感覚。
「今、何が起きてる?」という混乱ごと、エンターテインメントでした。
food / サプライズと、笑いと、ちょっとした恐怖
ステージに現れた“あの姿”。
会場が「え!?」→「えぇ〜!!」→恐怖と、感情のジェットコースターに乗せられました。
恐怖と笑いは紙一重です。
心理学的にも、緊張が安全な形で解除されたとき、人は笑う(緊張と緩和の理論)。
怖がらせてから笑わせる。この落差の設計が、本当にうまい。
THE CINEMAのエンターテインメント設計
- 驚かせる(Witch・food)
- 踊らせる(habit・Dragon Night・RPG)
- 泣かせる(magic)
- 考えさせる(sos)
この4つを、2時間ちょっとで全部やる。ドーム規模でやる。
15年かけて研ぎ澄まされた「美しき狂気」の正体は、たぶんこの設計の緻密さです。
【理学療法士の余計なお世話】ドーム参戦のあとにやってほしいこと
職業病ついでに、もうひとつだけ。
2時間以上立ちっぱなし、軽くジャンプあり(京セラドームではジャンピング禁止でした)、感情の大波あり。
ライブの翌日、身体は想像以上に消耗しています。
ライブ後の回復メニュー(当日中に)
- ふくらはぎを伸ばす:立ちっぱなしで固まった第二の心臓を緩める(左右30秒ずつ)
- ぬるめのお風呂に10分:熱すぎるお湯は交感神経が上がって眠れなくなります
- 水分+塩分:ドームの熱気と歓声で、思っている以上に失われています
- 寝る前にセトリを聴き返さない:興奮が再燃して眠れません(経験済み)
最後の項目、僕は毎回守れていません。
結論:DVDでもう一度見たい(=完全に負けました)
映像演出があまりに多く、あまりに作り込まれていました。
正直、1回では処理しきれていません。
「あのシーン、もう一回見たい」が、記憶の中に何十個も残っている状態です。
だから僕は、こう思ってしまったわけです。
「これ、DVDでもう一回見たいな……」
商売上手。
いや、褒めています。全力で褒めています。
「もう一度見たい」と思わせるだけの密度を、実際に作り込んでいるんですから、これは正当な商売です。
パチンコに全財産を溶かしていた過去の僕に言いたい。お金は、こういうものに使うんだよと。
まとめ:物語は、まだ終わらない
- 大阪公演は本編22曲+アンコール2曲。アンコール1曲目のみ日替わり(Day1:花鳥風月/Day2:アースチャイルド)
- ラストは両日ともRPG。物語の“エンドロール”は共通
- tonight・バードマン・magic・sosの後半4曲が、感情の主戦場
- Witch・foodの映像演出は、驚きと笑いのエンターテインメント
- そして僕は、DVDを待っています
アンコールでRPGを歌いながら、僕はずっと考えていました。
変われない自分を「わかっている」と言い訳していた頃の僕は、たしかにあの歌詞の中にいました。
でも今、こうして、記事を書いている。あの頃の僕からしたら、想像もつかない進歩、成長です。
人生は、まだ上映中です。
もしあなたの人生が一本の映画だとしたら・・・次の一曲に、何を流しますか。
それでは、また次の記事で。
ヒロでした。
